クリスマスのお菓子エーブルスキワ

森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

クリスマスマーケットの終わった後、チラシの上に「おつかれさま」とチョコレートラスク
クリスマスマーケットの終わった後、 チラシの上に「おつかれさま」とチョコレートラスク

二十四節気の暦が小雪へと近づく頃、窓の外を眺めていると雪のような白いものが舞っていました。外に出て近づいてみると、ミンクの毛皮のようなふかふかの白いものを背負った小さな虫がたくさん飛んでいました。その正体は、雪虫、それから1週間ほどすると、山形には、初雪が降りました。雪虫はその知らせにやって来たのですね。

翌朝、窓から外を見上げると、うっすらと粉砂糖をふりかけたように山々が雪をまとっていました。朝のおいしい空気に誘われ外に出ると、クヌギの丸太も、うっすらと雪をまとい、まるでブッシュ・ド・ノエルのケーキのようです。Buche de Noelとは、フランス語でクリスマスの薪という意味。お菓子作りの職人さんたちも、こんな自然を眺めながらクリスマスのお菓子を作っているのでしょうか。

フランスのブッシュ・ド・ノエルばかりでなく、ドイツのシュトーレンやイタリアのパネトーネ、オーストリアのクグロフなどヨーロッパのクリスマス菓子は、おなじみのものがたくさんありますね。

さて、日本ではあまり知られていませんが、以前暮らした北欧デンマークのクリスマスのお菓子エーブルスキワ( Ableskiver)をご紹介します。見た目は日本のたこ焼きにそっくりですが、お味はパンケーキのような甘いお菓子です。甘い生地の中に小さくカットしたりんごを入れて丸く焼き、ジャムやお砂糖をかけて頂くのが伝統的なデンマークスタイルです。コーヒーにも紅茶にも合う手軽なお菓子は、寒い日のおやつにぴったりです。先日もエーブルスキワを50個焼いて、粉砂糖をふりかけ、赤ワインとお砂糖で煮たりんごのホットジャムを添えて頂きました。寒い外仕事の後、おいしいおやつと温かいコーヒー、仲間との楽しいおしゃべりは至福の時間です。

窓から見えるあの山から届いたりんごは、もちろんそのまま頂いても密がたっぷり入っていておいしいのですが、ワインを加えるとクリスマスが近づいているようなワクワクを感じます。

さて、今日のスケッチは、ハンス・J・ウェグナー氏のデザインのYチェアーです。

ハンス・J・ウェグナー デザイン  Yチェアー(デンマーク)
ハンス・J・ウェグナー デザイン Yチェアー(デンマーク)    イラスト J.Kikuchi

はじめて Yチェアーに出会ったのは、デンマークの首都コペンハーゲンから列車で20分ほどのリュンビューという町にある大学のランチルームでした。まだ寒さの残る3月、小さな娘を連れて、駅から黄色いバスに乗り大学のバス停で降りると、日本と同じすみれの花が咲いていた事を覚えています。デンマーク工科大学では、学科ごとにキッチンつきのランチルームがあり、大きなテーブルとYチェアーがたくさん並んでいて、先生や世界各国からの研究者たちがそこに座り、楽しそうに談笑しながらお昼を食べていました。

Yチェアーは、背中を支える支柱がアルファベットのYに似ていることから、そう名付けられたそうです。ペーパーコードで編まれた座面に腰掛けると、その奥行きと、背中から丸く包み込んでくれるような曲線を描いた肘掛けに、何ともいえない居心地のよさを感じました。食卓の椅子なのにくつろげるのは、Yチェアーの魔法のように感じます。

デンマークが2016年も国民幸福度世界一だった理由は、家具にも灯りにも居心地がよくなるデザインの魔法がかけられているからかもしれません。クリスマスに向かい明るい時間はどんどん短くなりますが、おいしいお菓子と楽しい仲間、そしてキャンドルを灯せば暗闇さえもおしゃれな小道具に。
楽しいおしゃべりをラスクと一緒に