蜜ろうのキャンドルを添えてラスクでおもてなし

森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

蜜ろうのキャンドルを添えてラスクでおもてなし
蜜ろうのキャンドルを添えてラスクでおもてなし

12月の里山に、遠い故郷を離れ山形で勉強している学生さんや留学生が訪ねて来ます。夕方の5時過ぎ、自宅の隣の古い家でお客様を迎えてくれるのは玄関のストーブの温かな灯。燃料の薪は、間伐材の丸太を冬になる前に割ったものです。ここは、まるでゲストハウスのように多くの方が訪れます。もとの持ち主であったご夫妻は、東京へ嫁がれた娘さんがお孫さんとやってくるのを楽しみにこの家を建てられたと聞きました。すきま風も入ってくる古い家なのに、みんなのおしゃべりやおいしいもので、湯気がでるくらい温かで、窓が曇りガラスになっています。

たくさんの方が集まるホリデーシーズンは、デザートも楽しみです。オーブンの天板にそのまま生地を流して焼いた大きなスポンジケーキに、クリームをたっぷりはさみました。ケーキの飾りは、近くでとれたりんごのコンポート、花びらのように薄くカットしてバラの花のように重ねてみました。たずねてくれる方のおかげで、里山の素材も迎える私たちもたくさんのわくわくを頂きます。

そして、みんなが帰るときに待っている、もう一つのサプライズは、星のまたたく夜空。クルミの大きな木のある東の空を眺めると、冬の星たちがのぼっています。オリオン座の輝く星ペテルギウス、おおいぬ座のシリウスとこいぬ座のプロキオンをつなぐと冬の大三角形が見えて来ます。寒さも忘れて星を追った冬の日のこと、きっといつまでも忘れられない想い出になりますね。

さて、今日のスケッチは、唐辛子のわら細工。

唐辛子のわら細工
唐辛子のわら細工 イラスト J.Kikuchi

近くの地元野菜の直売所には、顔見知りの農家のお母さんたちがいつも新鮮な野菜を朝から届けに来ます。そこで見つけた唐辛子のわら細工。米どころの山形には、稲作の副産物「わら(藁)」がたくさんあります。ナイロンやビニルの紐の登場で、すっかり日常生活から姿を消してしまっていますが、藁のひもで編んだものは、お米を食べる日本人の心に留ります。

どうしても唐辛子の藁細工を作りたくて、お野菜の売り子の手伝いをしながら大根を持って来たおばあちゃんに教えてもらいました。藁を編みながら唐辛子を入れて行き、最後に藁をよじって紐状にします。この藁をよじる動作を「綯う」(「なう」)といいます。
「縄綯い(ない)ができると、正月の飾りもできるよ」と言われ、家に持ち帰った藁でたくさん縄綯い(ない)の練習をしました。お正月の門松の輪飾りも今年は手づくりできそうです。

縄綯い(ない)を習ってから、いろんな藁細工に目が行きます。近くの観音様の門にかけてある大きなわらじ、おそば屋さんにかかっていた防寒具「みの」、お正月飾りやしめ縄、、、色んな姿で日本人の暮しに寄り添ってきた藁のありがたさを感じました。

お米を作っている人たちがそばにいる暮しは、どこかなつかしくて温かくて、居心地がいいもの。進化じゃなくて、日本人として深化しているような、そんな自分にほっこりしました。手を動かしながら、自分との対話をたのしむ冬時間、楽しいおしゃべりをラスクと一緒に。