のし紙はつけますか?

学生時代、某大型スーパーでアルバイトを3年していた。配属先は衣料品売り場だったが、母の日・父の日、クリスマスや年の暮れなど贈り物が増える時期はギフトカウンターへ借り出され、ひたすらギフト品の包装をしていた。

 

「のし紙はつけますか?」、「外のし内のしどちらになさいますか?」など社員の口真似をしてお客さんに尋ねては、次から次へと終わりの見えないようなギフト商品をせっせと包装していた記憶がある。

箱に入っている商品やギフトボックスがある商品は、形も安定していて包装もしやすく仕上がりもきれいだ。少しやっかいなのは、ハンカチ1枚だけとか、ゴツゴツしたおもちゃとか箱は不要だといわれたものをそのまま包装するときだ。

包装台に置いて、包装紙でくるんでも不安定で、シワが寄りやすい。
仕上がりもなんとも不恰好で決して美しいとはいい難い。
それでもお客さんには「こちらでよろしいですか?」と聞いて「あー、いい!いい!大丈夫!」などど了解を得てからお渡しする。

近しい友達や子どもや孫にあげるプレゼントに、そんな仰仰しく箱などつけなくてもいいという方や、最近だどエコ意識からか過剰包装になるからそのまま紙で包んで。という方もいらっしゃるので、ギフトボックスの需要は少なくなっているのではないだろうか。

おかげでどんな形のものであろうと、大きさであろうと何でも包めるようになった(笑)
コンビニのアルバイト店員さんが言う「あたためますか?」と同じくらい口から自然と出るようになった「のしはつけますか?」.。このフレーズに当時は何の疑問も持たなかったが「のし」って何だろうか?

漢字で書くと「熨斗」。難しい・・・。漢字検定1級レベル。
ちなみに英語では何て言うのか知人の英語教師に聞いてみると、(decoration of folded red and white paper for gifts)「贈答品につける紅白の紙でおられた飾り」だそうで、こちらも実に難しい。「のし」を英語で一言で表現することは出来ないのだ。日本文化の奥深さを痛感させられる。

さて、話を戻そう。「のし」とは一体何なのかという疑問だが、一般的には進物・贈答品の品物を包装し、その上に掛ける紙を「熨斗紙」と言い、右上にお祝いの意味を表す「熨斗(のし)」がつけられている。

のし=のしあわび のことで、昔はおめでたいことがあるとその慶びを引き伸ばそうと、酒の肴に魚介類を食べてお祝いしていた。あわびを薄くそぎ切りして引き伸ばし、干したものだったそう。

のし(のしあわび)は、慶びを運んでくれるもの。白い紙で包んだ袋で神聖な意味を持ち、これをデザインし、数字のなかでももっとも慶事にふさわしいとされる「9」を表現しているのだ。
また左下部分には「永久」の「久」の隠し文字を入れて、贈る側のこころを強調している。

この時期になると毎年お世話になっている方へ贈るものがある。
遠く離れたその人とは、冒頭で書いた学生時代のアルバイト先で出会った社員の方だ。お金を稼ぐという目的のためだけだど、どうしても仕事は適当になってしまう。

モノを売るという立場ではあったが、それらを企画した人つくった人販路を探した人買った人もらった人、それぞれにそれぞれの思いがある。仕事とは・働くということは。についてまさに仕事を通して教えてくれた。
そんな人生の先輩に、少しの近況報告の手紙を添えてラスクを贈る。

今時珍しい5人の子供をもつ子だくさんファミリーの肝っ玉母さん。いろんな味を楽しんで欲しいのと、私の地元を感じて欲しいから5つのラスクの味が楽しめるスイーツ缶を。「いつもありがとう。元気そうで何より。地震の影響で年末年始は実家へ戻れないけど、人の温かさを感じた1年でした。」そんなお返事を先日もらったばかりだ。

わたしたち日本人は、祝い事や季節の挨拶、そして悲しみを分かち合うときも相手持ちを伝える「贈る」文化を大切にしてきた。
贈りものの起源と言われている神様へのお供え物。五穀豊穣や健康を願い、わたしたちは季節の食べ物やお酒を供えて日々の平穏祈ってきた。

贈る側と贈られる側の「縁」と「こころ」が伝わる贈り物。大切な人を思い出しながら、あなたは何を伝えますか??