小正月によそいき顔のラスクと縁起物のエンジュの鳥

 森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

小正月によそいき顔のラスクと縁起物のエンジュの鳥
小正月によそいき顔のラスクと縁起物のエンジュの鳥

 1月15日は、小正月、この辺りでは女正月とも呼ばれています。お正月に、帰省した家族を手料理でもてなしたお母さんたちにゆっくりしてもらう日だそうです。にぎやかななお正月が過ぎ、ちょっぴり寂しくなった頃にぴったりのもう一つのお正月ですね。

 小正月には、団子の木とよばれているサンゴミズキの小枝に紅白のお団子を下げます。季節の節目ごとに、暮らしと関わる木々がきちんと裏山の森にあることに感謝しています。今年は雪も深くなく、小正月の団子下げのサンゴミズキを森へ頂きに行くことができました。サンゴミズキの赤い枝が雪の白と相まって、なんだかおめでたい気分です。

 冷蔵庫のように冷たい風除室(玄関前の小部屋)には、お節の甘い黒豆がたっぷりのお汁と一緒に残っていました。人の集まりの多い里山では、寒天寄せのお料理がよく作られます。テリーヌ風のオードブルから甘いデザートまで、近所のおばあちゃんたちに頂くうちに、私もすっかり魅了されました。

黒豆の寒天寄せもこの頃にぴったりのお茶請け、こんな風にさいの目にカットしグラスにいれてみても素敵です。
棚にしまってあったラスクがいっしょに小正月のティータイムを作ってくれます。グラスといっしょに漆器を使うと、日本を感じます。漆器は英語でjapan、大文字ではなく、小文字で始まる普通名詞です。

暮に届いた縁起物のエンジュの木の置物を添えて、自然と人との関わりで、季節と節目を大切にする日本人の暮らしを楽しめることに感謝。そしてこのページでたくさんの方とつながっていることにも感謝。ラスクのふるさと、山形へ今年はござっどごえ。(山形の方言:いらしてください)

さて、今日のスケエッチは、クルミです。

鬼クルミ イラストTOMMY
鬼クルミ イラストTOMMY

 東の窓から見える大きなクルミの木のシルエット、時折枝に雪をのせています。春から初夏にかけては、日々すごい早さで緑の葉を茂らせ、夏にはぶどうの房のような緑色の大きな実をつけます。9月の二百十日をすぎると実を落とし、それから黄色く染めた葉を落とすと冬が訪れます。次の季節の始まりをそっと知らせてくれる大きな木。

 よく見かける殻入りのクルミは、落ちた実の果実の中から出てきた種の部分です。さらにその殻をわると、美味しいクルミが登場します。さて、私が窓から眺めている木は、クルミの中でも殻が固く厚い、鬼ぐるみ。殻の中にはわずかな実しか入っていません。山形で出会った鬼ぐるみ、西洋クルミと違い、割るのも実を外すのも大変ですが、そのおいしさは抜群です。デンマークで暮らしていた頃に使っていたクルミ割りではとても割れません。 

 クルミはそのまま食べるか、パンやお菓子に使うものと思っていましたが、里山に暮らし、美味しいレパートリーが増えました。鬼ぐるみの渋皮をむき、ちょっぴり茹でてすりこぎですり、お砂糖とお醤油を加えたたれをお餅にかけていただきます。

すり鉢とすりこぎは、フードプロセッサーで代用できると思いっていましたが、一味違います。使ってみると、やさしいおいしさと意外な手軽さに感動しました。貴重なクルミは冬の間に食べ切らずに、殻のままとっておき、春に菜花のおひたしのトッピングにしていただきます。クルミは久留美と言う文字を当て、美しさを久しく留めるという縁起物です。

 めくるめく季節の中で、一期一会なひとときを大切に。ラスクと一緒に楽しいおしゃべりをいかがでしょうか。