手描きのお皿でよそ行き顔のラスク

 森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

手描きのお皿でよそ行き顔のラスク

 節分の夜があけ立春、暦の上では春が始まりました。朝起きると雪が止み、雲がどんどんと東へと移動しています。雪野原に5つ、小鳥のためにおいたリンゴに朝陽があたり、影が伸びています。里山に立春の贈り物、青空が届きました。

 しばらくすると、小鳥の鳴き声が聞こえ、森から鳥たちが飛んできました。リンゴを見つけ雪の上に降りてくると、口ばしを青空に向けて「いただきます」と言っているようです。辺り一面の雪野原では、鳥たちもお腹をすかせていることでしょう。
太陽は、どんどんと気温を上げて、森へと続く木々の枝から雪が落ちていきます。こんな日は、空色のスノーシューをはいて、森の散歩へでかけようかな。きっとこれは、雪片づけに励んだ日々のごほうびでしょうか。

 窓の外の風景は、気まぐれな自然の絵の具を使っているようにどんどん色を変えていきます。東京で育った私は「色を塗る」と言いますが、山形で育った娘は「色をそめる」と言います。
そして、「鬼は外」ではなく、「鬼は内」と言います。童話「泣いた赤おに」のふるさと山形では、鬼も冷たい外では大変なので、家にいれてあげるのでしょうか。私も「鬼は内」と叫んでいます。

 春へのささやかなお祝いに、大切な「晴れ」のお皿にラスクを並べました。デンマークの友人が、プライベートで細い筆を使って描いてくれたものです。
ブルーの花柄で有名な食器メーカーも1970年代頃まで、こんな上絵付けの職人技を感じるものを製造していました。
今はもう廃盤となった小花を描いた食器のシリーズ「ヘンリエッテ」を思い出します。職人技をラスクにも感じながら、お皿の上で小さく割ってゆっくりと口へ運ぶと、自分時間が贅沢に染められていきました。

 

クリスチャニアバイクに子どもたちを乗せて走る友人 イラストJ.Kikuchi

 

 デンマークで出会ったクリスチャニアバイク、子どもを乗せたり、買い物の荷物を乗せたりするのに便利な荷台がついた三輪のカーゴバイク。コペンハーゲンにある自治区クリスチャニアで作られたことから、その名前が付きました。
荷台の形も様々で、幌のついたものもあり、ベビーカーの代わりに子どもをのせたり、ピクニックのバスケットやワインを大量にのせるのにも重宝します。

デンマークの列車には、自転車を持ち込める車両がありますが、街の通りにも自転車専用レーンがあり、自転車のデザインも様々なものがありました。その中でも、私がデンマークから一番、日本へ持って帰りたかったのがこのバイクでした。

 雪の里山で暮らし始めるとそのカーゴバイクを彷彿させる素敵なものと出会いました。それは箱ぞりです。日本の東北の雪の多い地方では、昭和30年代頃まで現役で使われていたそうです。車の普及とともに、道路を除雪するようになり、人々の暮らしは大きく変わっていったのでしょう。

箱ぞりについているハンドルやその用途がまさにクリスチャニアバイクそのものです。あずき色のレトロな箱ぞりで、家の裏の雪野原を散歩してみました。箱ぞりを滑らせ買い物をした昔の暮らしは、環境に配慮した最先端なエシカルなライフスタイルだったのかもしれませんね。夏にこのイラストのモデルの友人がデンマークから来たら、箱ぞりを見せてあげるのが楽しみです。

楽しいおしゃべりをラスクといっしょに。