ラスクのバスケットと雪の絨毯

 森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

ラスクのバスケットと雪の絨毯
ラスクのバスケットと雪の絨毯

 

 春を感じる日差しがやってきました。小さなバスケットにおやつを入れ、小さなお客さまと天然の雪の絨毯の上に飛び出しました。その後を、大きなバスケットやポットを持った大人たちが付いてきます。

早春の空気を感じるアウトドアリビングは、小鳥のBGMとやわらかな空気、そして雪の上に映し出される影絵アート、なんだかとてもゴージャスです。花粉症の大人たちも、しっとりとした雪の上では大丈夫かな?

 雪国の人の晩秋の挨拶は「そろそろ(雪が)やって来ますね」、そして早春の挨拶は「もう(雪が)来ないですね」。雪と一緒に暮らしていて、厄介に思うこともあるけれど、やって来てくれないと美味しいお米も野菜も果物もできないことをみんな知っている、大切な雪なのです。ひと冬頑張った後のごほうびは、余りあるほど里山にもやって来ます。

 枝にかけられた小さな古いバスケット、これは2~3歳の子どものままごと遊びにぴったりの大きさのお買い物かごです。大人の真似をする「ごっこ遊び」は、ご飯を食べるシーンに始まり、ご飯を作るシーン、そしてお買い物のシーンでしょうか。

だんだんと世界を広げ大人の世界を模倣して遊ぶことが大好きな子どもたち、遊びを通していろんな社会性を身につけて行くのでしょう。バスケットがかかっているのは、柿の木、雪がとけると青葉をのばし、初夏には木陰を作り、小さな青い実は、大地に落ちて‘ままごと’の材料にもなってくれます。自然のものを見立てて遊んだ幼い日、そんな記憶が将来の暮らしにもつながっていくのかもしれません。

 さて、今日のスケッチは、山形の旧家のお蔵から出てきた印判のお皿。

明治時代の印判の青い皿 イラストJ.Kikuchi
明治時代の印判の青い皿 イラストJ.Kikuchi

 

明治の頃に使っていたお皿とわかるのは、このお皿が印判という手法でプリントされている磁器だからです。江戸時代まで、陶磁器の絵付けは、手作業の染付けが中心でしたが、明治になると印判といわれるプリントの技術が導入され、大量生産ができるようになりました。
そうはいっても、転写するのも手作業ですから、柄がずれていたり色が飛んでいて、それが明治時代の印判の魅力にもなっています。珍しい柄のものは、コレクターの間でも人気が高いそうです。

 そんなアンティークの印判のお皿は、どことなくイギリスっぽさを感じます。このお皿を10枚、イギリスのスポード社のお皿と一緒にしまっていますが、まるで同じシリーズのように仲良く並んでいます。スコーンをのせればイギリス風に、漬物をのせれば和風になってくれるから不思議です。

 印判プリントの技術は、イギリスで18世紀に始まり、19世紀には、ウェッジウッドやスポードなどのイギリスの窯で磁器が大量生産されるようになりました。当時のイギリスは中国磁器の進んだ技術に憧れ、やがてその図案そのものを模倣するシノワズリーが流行していたので、図柄にも中国趣味のものが多くありました。今も人気のある「ウィローパターン」は、柳のある中国の風景模様、東洋と西洋を同時に感じます。

 さて、ご近所の方にお茶の一服のお誘いを受けお訪ねすると、手作りの粕漬けや塩蔵してあった山菜の料理が江戸や明治の器に乗って登場します。引き継がれる日本の文化に触れ、飛び出すお話に里山の浪漫を感じました。楽しいおしゃべりをラスクといっしょに。