旅立ちの「色」と、山形の「色」に想う

この時期は誰かに花をあげたりもらったりする機会が多くなる。今年は贈ることのほうが多いが、先日仕事の現場を離れる先輩へ花束を渡した。

 

いつもはお花屋さんへ行き、予算とシチュエーションを伝えてお任せすることがほとんどだが、その日はなぜか自分で花を選びたくなった。
誰かのために、その誰かをイメージしながら選ぶ作業はとても好奇心に満ちるものだということを初めて体験した瞬間でもあった。

その人が、どんな人なのか。趣味は?好きな色は?似合いそうな色は?どんな未来になってほしい?思考は花束を贈る相手に集中する。

キャンプや登山といった自然の中にいる時間が好きな一方、フェスやプロレス観戦といった賑やかでエネルギーに溢れた場所にもよく足を運ぶイメージ。
そんなところから黄色・オレンジ・白を中心とした花、そして緑の植物を合わせた。

そんな特別な想いを乗せた花束を無事にお渡ししたのだが、後日お会いした時「今年は花束をもらう機会がたくさんあったんだけど、なんかさ、黄色をイメージした花がとっても多いの。今の私、そういう時期なのかな。不思議だよねぇ。」

何気ない会話の中で出てきた一言だったが、また別の日、全く違う方から「先日頂いたプレート、息子が書いた絵の色合いと似ていて・・・とっても特別なものになりました」とも。

毎日着る服やご飯を食べるときの食器、小腹が空いた時に立ち寄るドーナッツ屋さんに並ぶ色とりどりなドーナッツなど、「色」について普段そんなに神経を研ぎ澄ますということはない無頓着な私でも、意識的に「色」について考えるきっかけを与えてもらったような出来事でもあった。

「色」には何か意味を込めたり感情を表す働きを持つと言われている。確かに身の回りにあるものは、「色」によって様々な表情を見せている。

火といえば「赤」を思い浮かべるし、「青」から空や海を思い浮かべる。
「黄色」と「黒」の組み合わせからは危険や注意をイメージするだろう。
物から色を、色から物を連想する行いが人の心の中にはあるようだ。
いうなれば色のイメージは言葉と大きな関わりを持っているともいえるのかもしれない。

さて、大切な方のために選んだ黄色の花。有彩色の中で一番明るい色と言われる黄色は、光や太陽のイメージが浮かび、見ているだけで心を弾ませ楽しい気分にさせてくれるような色だという。
好奇心旺盛な気持ちにもなるらしく新しいことを始めるときには勢いがつく色でもあるそうだ。

贈った相手の方は、これまでの現場を離れ、全く違う分野での新しい挑戦を選択した人だ。
「なんだか闘いたくなった」と、新分野での活動を選んだ理由をこう語っていたが、冒険好きでステップアップの道を進むその方にとって一番しっくりくる色だったのかもしれない。

そして、闘いたくなった。と語った表情は、闘争心に満ちた硬く鋭いというよりも、太陽に向かって大きな花を咲かせるひまわりのような親しみに溢れた明るい笑顔だったのだ。
まさに「色」にはその人が「今」持っている感情を表していて、無意識にその「今」を感じて選んだ黄色の花だったのかもしれない。

そんな時に改めて先日購入したシベールの「和三盆 ごまらすく」のパッケージを見てみると、ひと目見ただけで「和」をイメージできる「赤」と「黒」と「白」の配色だ。

最も古い日本の基本色は「あか・あを・しろ・くろ」と言われ、特に「赤」は山形にもゆかりが深い紅花染めが主流になった時代に、桜色から紅梅色など幅広い「赤」が表現されたという。

そんな赤と重厚感と高級感のある黒で強烈な視覚的インパクトと和のコントラストを表現したパッケージだ。

強さとすべてを包み込むような「赤」と「黒」は、まるで母親を想像させる組み合わせ。
この「ごまらすく」もまさに「母」のよう。和三盆のやさいい甘さは、ごまの香ばしさ、ラスクの食感といった様々な個性をしっかりと包み込み、受け止めて引き出してくれる。

懐かしくも新しいこの味は、色と合わせて様々な五感を刺激してくれる贅沢な味でもある。