山形のさくらんぼとシベールの「さくらんぼラスク」

山形県といえば?と尋ねるとだいたいの人が「さくらんぼ」と答える。フルーツ王国と言われる山形県は、さくらんぼの生産量日本一だ。

私が住んでいる東根市は、さくらんぼの主力品種、「佐藤錦」発祥の地ということもあり、どこもかしこもさくらんぼ。駅の名前は「さくらんぼ東根駅」。温泉地も「さくらんぼ東根温泉」だし、保育園や幼稚園に「さくらんぼ」がつくところも多く存在する。

さくらんぼのシーズンに全国から1万人以上参加者が集まるマラソン大会ももちろん、「さくらんぼマラソン大会」、6月には「日本一さくらんぼ祭り」という盛大なイベントも開催される。

とどめは地元テレビ局「さくらんぼテレビ」だ!どうだ!まいったか!(笑)
山形はこんなにもさくらんぼを愛しているんだぞ。ここはもう、さくらんぼワールドだ。

少し熱くなりすぎたが、、さくらんぼはもともとトルコ原産のバラ科の植物で、ヨーロッパの地中海沿岸やアメリカ西海岸で多く作られていた。
日本には明治の初めに導入され、全国に苗木が配布され、山形県もこのころ植えつけられたそう。

ではなぜ山形県がこれほどまで、さくらんぼの生産地として名を馳せるまでになったかというと、気候にある。
山形は、夏は暑く梅雨のときも雨が少なく、風も強くないなど、さくらんぼが育つのに適した気候だったかたというのがある。
今では全国の約6割の栽培面積、およそ7割の生産量だ。

さくらんぼの品種は全世界で1300種類以上、日本だけでも30種類以上と言われている。
そのうち山形県での主力品種のひとつが「佐藤錦」だ。
佐藤栄助が明治時代に育成した品種で90年以上も脈々とその種が受け継がれてきた「在来作物」のひとつだ。

実は我が家にも昔出荷用のさくらんぼ畑があった。主に祖父母が携わっていたが、敷地には20本ほどのさくらんぼの木があり、毎年6,7月の収穫と出荷の繁忙期には、家族総出で作業に追われた。

さくらんぼの収穫作業は朝が早い。まだ日が昇る前の4時や5時に収穫作業が始まるのだ。
しかも一粒一粒手作業。気温が低い朝は、さくらんぼの実が締まり、甘みも凝縮されている。新鮮なうちに収穫しパック詰め作業をして出荷するのだ。

祖母はそのパック詰め作業の達人だった。さくらんぼの軸をパックの内側にし、図ったようにキレイに並べていく。完成したパックのさくらんぼは、まさに宝石のように輝いていた。

雨や霜に弱く、実が割れてしまっては商品にならない。天候に左右されることも多い繊細な果物であるが、やはり一粒口にするとパリッとはじけた後に果汁が溢れる酸味と甘みのバランスがとれた高級フルーツの味である。

「さくらんぼは買ってたべたことがない」などと関東の知人に話すと羨ましがられるくらいだ。
パック詰めしている祖母の目を盗んで、一粒、また一粒と口に入れては種をぷーっと飛ばしたことが懐かしい。

そんな山形を代表する山形県産さくらんぼを使用した「さくらんぼラスク」がお目見えした。
ラスクがほんのりピンクで、袋を開けるとさくらんぼの優さしい香りが鼻にぬける。
1年に6、7月の限定されたシーズンにしか口にできないあの芳醇な味と毎日さくらんぼ収穫作業をしていた頃を思い出す。

さくらんぼの果肉を使ったクリームをフランスパンに手塗りしたというラスクの外見はなんともかわいらしいピンク色。
通常より低温で倍の時間をかけて焼き上げているといだけあって、1枚1枚に職人の丁寧な仕事が感じられる。

山形の味がサクサクのラスクになって味わうことが出来るというのは楽しみがまたひとつ出来た感じだ。
山形の初夏の味を一足早く楽しめるさくらんぼラスク、今は年老いて農作業の仕事が出来なくなってしまった祖父にもお土産として持って行こう。

毎朝一粒一粒遠くで心待ちにしていた誰かのためにさくらんぼを収穫していたあの時のこと、話してくれるだろうか。。