クルミ豆のバターを添えてシンプルなラスクで至福の時間

 森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

クルミ豆のバターを添えてシンプルなラスクで至福の時間

 4月の雨には栄養がたっぷり入っていて、雨にも色んな名前がついています。花を勇気付ける催花雨、桜の頃には桜時雨、そして、そろそろ農作業を始めようとする頃に、穀雨がやってきます。今、雨のあとの春野には、小鳥たちが舞い降りて何かをついばんでいます。

 恵の雨を受け、目覚めるたびに色を変えていく風景、緑色にも日本人らしい表現がたくさんあります。萌黄色、若草色、苗色、松葉色、わさび色、ときわ色、麹塵(きくじん)など、暮らしの中で集めた絵の具箱を開いていくような名前ですね。麹塵(きくじん)とは、麹かびの色をさしているそうです。

 色を訪ねて裏山の森をあるいていると、萌黄色をまとった木々の足元にすみれの花の紫を見つけ、ハッとました。家に戻り、自然の中で出会った色を思いながら、わさび色の紬のきものに、すみれ色の襟をのぞかせてみました。わさび色とすみれ色、思いつかなかったけれど合わせてみるとシックで素敵です。楽しみを、自然からいただく春のひとときでした。

 恵の雨で潤う畑、これから種をまき、収穫までは、まだまだ先のことです。そんな春先には、秋に収穫した豆が重宝します。おやつの定番のシンプルなラスクにクルミ豆バターを添えてみました。作り方は、簡単、柔らかくした大豆やクルミ豆をきび砂糖とバターといっしょに攪拌するだけです。出来上がりのクルミ豆バターをどんぐりの形のエンジュの容器に入れ、おもてなしの時間。いつものラスクも食べ方を少しかえてみると、非日常のおもてなし時間が流れます。
 

アンデルセンの生家の裏庭 イラストJ.Kikuchi

 東北山形に暮らす前に、北欧デンマークで暮らしたことがあります。デンマークは、童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの故郷です。「みにくいあひるの子」や「雪の女王」などが有名ですが、アンデルセンの最初の創作童話は「イーダちゃんの花」です。このお話は1835年5月4日、アンデルセン童話4話が初めて世の中に登場した時の一つでした。「イーダちゃんの花」には、イーダちゃんと、まるでアンデルセンの自画像のような男の学生さんが登場します。

 物語の中で、イーダちゃんが遊びにやってきた学生さんに「どうして私のお花はしおれてしまったの?」と、元気のない花を見て尋ねます。すると彼は「お花は夕べダンスパーティーへ行って疲れたんだよ。」と答えるのです。その夜、イーダちゃんは,お花のダンスパーティーの夢を見て、彼の話していたお花の世界を信じるようになります。

 「イーダちゃんの花」には、子供の頃,誰もが心の中に持ち合わせていたものが描かれているようです。子供たちは、お花や小鳥とお話ができるのを子どもたちと里山で過ごすと感じます。

 このイラストは、デンマークのオーデンセにあるアンデルセンが幼少期に暮らした家です。木戸をあけると裏庭に続きます。コペンハーゲンから列車に乗りオーデンセを訪ねた思い出の一枚です。私の心の中にも、いつまでもあの頃の娘が住んでいるのかもしれません。
 楽しいおしゃべりをラスクといっしょに。