五月の週末、自然の中へ出かけてみませんか

 森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

クルミの木にかけたブランコでゆれているラスク

 

 恵の雨の降った次の日、青空の下で緑が一層鮮やかになっているのを感じます。ブランコの上にラスクを入れたカゴをのせると、爽やかな風と一緒にゆれています。

 摘んだ花と一緒にラスクが入っているのは、クルミの皮を編んだカゴ。クルミの太くなった枝を切り、その皮を剥いだものを材料にして編んだものです。
新緑の季節は、ちょうどクルミの皮を剥いで材料を作る時期です。裏山を探検するといい塩梅のクルミの木の枝に出会います。

 一年を通して、クルミは、私たちにいろんなことを与えてくれます。若葉のあと、花をつけたクルミは、どんどん緑の葉をつけ、木陰を作ってくれます。花が終わり、二百十日を過ぎると果実を地面に落とし、寒くなる頃には、腐った果実の中にある大きな硬い殻を現します。この殻に入った部分が美味しいクルミです。

 クルミの強い枝は、もう10年間も、ブランコを下げて、子どもたちと遊んでくれています。雪国では、学校や公園のブランコは、雪が降る前から雪が溶けるまで雪に埋もれてしまわないよう外されますが、このブランコは、一年中ずっとつけたまま。雪が降るのが遅れた12月にも、まだ雪の残る3月にも乗ることができます。

 大人になっても、風と一緒にブランコで揺れてみると、なんだかとってもいい気分。秋にブランコで揺れていると、クルミの大きな幹には、赤い実をつけたツルウメモドキが絡まっていました。そして今、五月にブランコで揺れていると美味しい刺激のある香りがしてきました。ご覧の通り、サンショの木がクルミの木に寄りかかっています。

 大人のための童話のような里山時間、ラスクと一緒におしゃべりしませんか。

原っぱで詰んだ花をブランコで揺らす女の子たち イラストJ.Kikuchi

 広い野原に出かけた子どもたちは、思い思いに自分たちの世界を作って遊び始めます。タンポポの冠を作って子ヤギにプレゼントしていた子どもたち、今度は野原の花を摘んで花束を作って遊んでいました。

 花束を持って裏山の森のお出かけから帰ってくると、今度はブランコに花束を乗せて揺らしていました。小川の方では、男の子たちが遊んでいます。何をしているのかと近づいていくと、細い丸太を集めてそれを川に渡して橋を作っていました。

 昭和50年代頃から、子どもたちは、外遊びをしなくなったと聞いたことがありましたが、それは大人が作り上げた環境のせいなのかもしれません。
宿題とゲームを手提げに入れて持ってきた男の子も、青空と原っぱを見ると外に走って行きます。

 エコな暮らしは、エコマークのあるものを買うのではなく、ものを買わないで自然から頂いて自然に返すという選択もあります。クルミの木の皮で作ったかごは、いつか自然にそっと返すこともできます。

 高度成長期に都会で育った私でも、空き地で友達と野ばらを見つけた時のその時の喜びを覚えています。その後、空き地にはマンションが立ち並び、小さな原っぱはなくなりましたが、心の中にはずっとずっと残っています。

 週末、ラスクをリュックに入れて、自然の中へ出かけてみませんか。子どもさんが一緒でも、大人だけの遠足でも、きっとドキドキすることがあるかもしれません。耳をすませば風の音、鳥のさえずり、川の流れる音が聞こえてくるかもしれません。空気の匂い、目に優しい緑、五月の自然は、きっととくべつです。