里山の田んぼに水が入る頃

 森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

アカシアの花とラスク

 

 「田んぼに水が入ると涼しくなる」、米どころの山形では、田植えが終わる頃、ひんやりとした空気に包まれる日が続きます。昔は、この頃まで、綿入れのはんてんやコタツも片付けなかったそうです。この頃の季語「田植え布子」を山形に暮らして体で納得しました。

 今、里山は、甘い香りにも包まれています。里山の森や川沿いには、見事な大木のニセアカシアの白い花がたくさん咲いています。ミツバチでなくてもその甘い香りに誘われ、あたりを見渡してしまいます。

デンマークで暮らした時、図書館のある小さな森を六月に通り抜けるとニセアカシアの甘い匂いがしたのを覚えています。東北と北欧、同じ植物を見つけるたびに、嬉しい気持ちが重なります。

 この甘い香りのニセアカシア、山形に来て美味しいいただき方を教えて頂きました。「花の天ぷら」です。甘い香りで、とても美味しい一品になります。美しい花ですが、枝にはたくさんの大きなトゲがあり、花は高いところに咲いています。そしてこの甘い花の蜜を頂きに蜂たちもやってくるので気をつけなくてはなりません。

 ここで暮らしていると、自然の中に咲く植物は、飾るだけでなく日々の食卓にも登場します。美しい花だからと、毒性のあるものを食卓に飾らないように、花の図鑑で調べては活用しています。
食べられる花は、料理のあしらいにもなって目にも美味しさを運んでくれますね。そんな花たちを囲んでラスクと一緒に初夏のおしゃべりをご一緒しませんか。

子ヤギとお母さん イラストJ.Kikuchi

 

 子どもの頃に動物を飼ったことのなかった私が、山形で子育てを始め、子ヤギを飼いました。小さな娘が子ヤギを欲しいというと、生まれたばかりの子ヤギが、タイミングよく我が家にやって来ました。次の年には、2匹の子ヤギが生まれて、その次の年は3匹の子ヤギが生まれました。

 家の周りの原っぱは、ヤギたちが草刈りをするように綺麗に食べてくれました。ニセアカシアの花はヤギも大好物でした。
そんな折に、庭木にあったツツジの花をヤギが食べ、中毒を起こしてしまったことがあり、花や植物の名前や毒性を娘と一緒に調べました。
ヨモギやオーチャードグラスを小学校から帰ると近くの原っぱで集め、翌朝のヤギのごはんを準備するのも小学生の娘の日課でした。

 ヤギを飼うには、藁が必要ですので、藁をいただくためにはお米作りの農家さんたちとも親しくさせていただくことになりました。そして、ヤギ小屋の敷き藁は、発酵し肥料となるので、畑作りもはじめました。

 その後、埼玉のどろんこ保育園や蔵王の大きな牧場で、ヤギたちはたくさんの子どもたちに可愛がって頂きました。今も元気にしているヤギもいます。

 里山での暮らしは、生きていくための調べ学習を重ねているような日々でした。匂いや手触り、味、五感を通じての学びはこの年になっても記憶に残ります。窓を開けていると、そよ風と共に西から「ケーンケーン」東から「カッコウ、カッコウ」という声が聞こえて来ます。キジとカッコウの鳴き声です。

 そんな折、花の蜜を絞っている友人からさくらんぼのハチミツができた連絡が届きました。アカシアの蜂蜜の一番搾りは、7月頃でしょうか。
プレーンのラスクと一緒にいただくのが楽しみです。初夏の山形では、美しい緑とラスクと一緒に、搾りたての蜂蜜にも出会えるかもしれませんよ。