食の宝庫山形の文化をつなぐ食卓

 森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

ウコギを使ったランチとトマトラスク

 

 最上、村山、庄内、置賜とバラエティに富む4つの地域からなる山形は、気候風土がそれぞれに異なります。果物、野菜、山菜、畜産物、そしてワインやお酒もそれぞれに違った魅力があり、地域ごとの多様な食文化は、その背景にある歴史と深く関わっています。今の季節は特に、産直のお店に寄り道しながら食の宝庫山形をドライブするのは楽しみです。

 東京方面から山形に向かい福島県を過ぎると、置賜地方の米沢です。ここには、江戸時代、上杉鷹山公が奨励したウコギという食用の植物を垣根にした風景が今なお、大切に受け継がれています。飢饉に備え、花よりも食べられるものを育てた屋敷畑や生垣の発想は、最先端な発想に感じます。

 春から初夏にかけて、ウコギの新芽をおひたしや切り和えにするのが地元では、一番ポピュラーないただき方です。切り和えは、米どころ山形らしく、ごはんにぴったりのおかず。色鮮やかに茹でたウコギを刻み、焼いた味噌と合わせる料理です。

 写真はそんなウコギ料理の私流イノベーションです。さっと茹でたウコギをリースのようにお皿に丸く並べ、残りのウコギをプロセッサーにかけオリーブオイルと白だしを加えソースを作り、鶏肉にのせてみました。北欧デンマークのプレートに東北のロマンのある野菜をのせてみるのも何だか粋です。

 食卓は、お腹を満たすだけでなくて、会話を通していろんな思いを交換したり、文化をつなぐ素敵な場所。山形発のトマトバジルラスクも、楽しいおしゃべりを盛り上げてくれます。

 

最上川での想い出 イラストJ.Kikuchi

 

 東京の多摩川の近くで育った私は、川のある風景が大好きです。山形で子育てをして感じたのは、山があるところには、川もある、そんな当たり前のこと。そして、それが日本の原風景を感じさせてくれることです。

 リュックサックにおにぎりと水筒を入れて、日に数本しかない列車に乗ってあてもなく降りてしまった小さな駅、歩いて行くと小さな集落があり、大きな屋根の古民家で一服いただいたことがありました。近くには小川が流れていて、田んぼがある、そんな風景を眺めながら歩いていると、出会う人がみんな大好きになってしまう素敵な時間でした。

 デンマークで小さな娘の子育てをしている時は、リュックにサンドイッチと水筒を入れて、自転車で森を走り抜けていました。高い山がないのでパンケーキと呼ばれているデンマークは、川ではなく、湖のある風景がその原風景に感じました。

 イラストは、山形の母なる川、最上川、地元のおじいさんに教えていただいた川遊びのできるスポットです。この時期になると、おやつを持って子どもたちと水遊びに出かけました。ゴツゴツと岩のある川の中を素足で歩くだけで、何時間も過ごした日、そこで拾った石がずっと家の片隅に置いてあります。

 その石ころが目に入ると、あの頃の子どもたちに会えるような気がして、クスッと笑ってしまいます。子どもの「帰りたくない!」が始まり、ずっとずっと遊んでいたあの頃。ラスクをいただきながら、自分で淹れた紅茶を自服しながら、あの頃にかえる時間も素敵なひと時ですね。