キュウリのサンドイッチと子ヤギ

 森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

バタークリームのケーキとバターの効いたラスク

 

 イギリスと日本、島国でお茶が大好きなところが似ています。お茶会とアフタヌーンティー、憧れていた20代は、心の在り方や深い人生の修行というより、形を真似することばかりを追いかけていたように感じます。

 仕事で滞在していたロンドンのホテルで体験したアフタヌーンティーは、アンティークな調度品や銀器、食器に囲まれての優雅な時間でした。

三段のケーキスタンドには、下からサンドイッチ、スコーン、ケーキーが盛り付けられ、銀製のティーポットとお湯の入ったホットウォータージャグ、たっぷりのミルクがテーブルに運ばれて来ました。

もともと貴族の間で始まったアフタヌーンティーは、夜の観劇などの前の社交の時間だったのでしょう。

 ロンドンのパディントン駅から列車に乗り、週末は郊外によく旅をしました。その時、滞在したマナーハウス、こちらでもアフタヌーンティーを楽しみましたが、どこでも共通してキュウリのサンドイッチが出てくることが不思議でした。

 キュウリのサンドイッチは、実は、イギリスではステイタスの証だったそうです。農園を持ち、人を雇い、とれたてのキュウリでサンドイッチを作れることは余程の余裕がないとできないことです。

 貴族ではないし、お手伝いさんもいないけれど、とれたてのキュウリを畑から頂きサンドイッチがたくさん作れる里山。畑の横の木陰でドレスコードは浴衣で、アフタヌーンティーをしましょうか。

 少しずつ人生は、自分流になっていくのが年を重ねていくことの醍醐味かもしれません。ラスクで午後のお茶を、キュウリが取れすぎる季節を待ちながら楽しむ梅雨の頃です。

子ヤギと子ども イラストJ. Kikuchi

 

 東京で生まれ育った私は、動物を家で飼ったことがありませんでした。動物が生まれたらどうしたらいいか、どうやって面倒を見たらいいかわかりませんでした。でも考えて見たら、母親になるときも初めて母親になって、だんだんとお母さんになっていくのですから、初めては誰にでもあるもの。

 山形で暮らし始めた頃、小さな娘が、ヤギが欲しいと話したら、近所で生まれた小ヤギが我が家に届けられました。その時は、本当にびっくりしましたが、白くて小さくて、可愛いい子ヤギを、小さな娘が一生懸命に育てました。

 やがて、その子ヤギは大きくなり、子ヤギを二頭産んで母親になりました。小学校から帰ってくると、母ヤギのごはんの草を子どもたちが集めてくれました。ヨモギ、オーチャードグラス、アカシアの葉、スギナ、ツキミソウ、、、原っぱには、ヤギのご馳走がいっぱいなことを教えてもらいました。

 ヤギ小屋には、お米農家の方からいただいた藁がしかれ、それはやがて畑の堆肥になりました。自家製の有機肥料で育った野菜は、気分のせいかとても美味しく、何より、いろんなことや人が関わって回っている暮らしを親子ともに実感する日々でした。

 ヤギを飼うということは、移住した私たち家族のいろんな扉と繋がりを里山で開いてくれました。農家の方との関わりは、日々、いろんな気づきを与えてくれます。今頃は雑節の半夏生、農家の方達は、この期間、無理はせず、体を労わるようです。

 梅雨明け間近のこの頃、自分自身を労わる時間も大切ですね。ラスクと一緒に、今日はコーヒーをいただきませんか。