fホールの小さなギターとラスク

 森に囲まれた里山ソムリエな日々
里山でラスクを頂きながらあんなこと、こんなことおしゃべりする、そんな時間が届きますように。

ジャジーな時間とラスク

 

山形に来たばかりの頃、あてもなく、県内各地をドライブした折、山間の小さな喫茶店で出会ったfホールの小さなギター。私は、ギターも弾けないのに、この小さなエレキギターのことが忘れられず、また次の日曜日に車を走らせ会いに行きました。

 喫茶店のマスターが、そんな気持ちを察してくれたのか、「このギター、譲りますよ」と言われ、家に連れて帰ることになりました。カフェというより、喫茶店というのがぴったりのお店でした。

 その喫茶店を訪ねる度に、コーヒーの焙煎の仕方や、ギターのことを色々と教えてもらいました。エレキギターには、大きく3つの種類、フルアコ、セミアコ、ソリッドがあり、このギターは、エレキの中でもロックではなくて、ジャズなどを奏でるタイプだと聞きました。

 その店のあった旧道に並行し、新しい道路が通ると、通る車もなくなり、ある日、そのお店を訪ねると、「今までありがとうございました」と、ドアに張り紙がありました。

 あれから何年経ったのでしょうか。この夏、里山の我が家を訪ねてくれた人が、ギターを手に取り、弦を弾き、虹の彼方に(Over the rainbow)を聴かせてくれました。ピックアップを通さないアンプラグドなギターの音色が、蝉の合唱と、風に揺れる風鈴とマッチしているのは、全てが生の音だからかもしれません。

 一曲聴いた後、ラスクとコーヒーを飲んでいると、今度はヒグラシの声が響き始めました。

手作りのおやつをヤギに見せに行った娘 J. Kikuchi

 

 記憶の中に残っているおやつ、手作りのおやつでも買ったおやつでも、どんなところで、誰と食べても、ふと思い出すシーンがあります。

 山形の夏のおやつは、スイカやぶどう、プラムや桃、、、と果物のおやつが並びます。東京育ちの私には、とても贅沢に感じます。

 小学生の頃、私の家には、おやつノートがありました。家に帰ってくると、そのノートに今日のおやつと母からのメッセージ書いてありました。仕事をしていた母は、手作りができなくても、いつもおやつを用意して出かけていました。

 「三人で仲良くおやつにしてください。」とか、「今日は遅くなるけれど、洗濯物よろしくね。」とか「お姉ちゃんは、妹をピアノに送って来てくださいね」など、小学校から帰ってくるとそのノートを真っ先に読んで、おやつを食べていたのを思い出しました。

 そんなおやつの中でも大好きだった、蒸しプリンをお盆休みに作ってみました。牛乳とお砂糖と卵だけでできるおやつ、オーブンで焼かずに、フライパンで蒸して作るからあっという間にできました。お盆の頃には、いろんな形で天国の母が会いに来るような気がしました。

 子どもとおやつを一緒に食べられる時間も、家族が一緒に居られる時間も、振り返ってみると、あっという間に過ぎ去ってしまいます。

 イラストは、飼っていたヤギのリリーに手作りのおやつを見せに行き、食べられそうになって困っている娘です。家族でおやつの話をしながら、レモンラスクを食べて、ほっこりとした時間を過ごしました。