屋外で鍋パーティ?!

お盆が過ぎて、一気に秋めいてきた山形。あんなにスイカやそうめんを食べていたのに、ここ最近の気温の変化に、アレが食べたくなってきた。もう、これは山形県人なら誰もが感じる
自然な変化だ。むしろ本能なのかもしれない。

「芋煮」。里芋、豆腐、こんにゃく、牛肉を煮込んだしょうゆ味の鍋料理。山形のソウルフードのひとつだ。

秋になると、山形県内各地の河川敷には美味しそうな湯気が立ち上り、賑やかな笑い声がわき起こる。
家族や友人、学校や職場などの親しい仲間同士で鍋を囲む「芋煮会」。

最近では国外でも山形県人会などを中心に開催されているイベントもあるようだ。この外で鍋をするというのが、県外の方からするとちょっと不思議な光景らしい。

我々山形県人にとっては「え?バーベキューと同じテンションでやってますけど?」という感覚なのだが(笑)

物心ついたときから「家庭の味」「ふるさとの味」として染み付いている芋煮だが、その歴史は江戸時代までさかのぼる。京都や大阪と結ぶ舟運の最終地であった山形県中山町が発祥の地と言われている。

当時は、通信技術が発達していなかったため、荷物が到着する正確な時間がわからず、また、川下から川上へと船を動かすための風を待たねばならないなど、とにかく待ち時間が長かったそうだ。

そのため船頭たちが京都から運んできた棒鱈と、中山町で収穫された里芋とを鍋に入れ、河原の松の枝に鍋をかけて食べた。というのが説として残っている。

脈々と受け継がれてきた味は、時代を経て様々に進化・変化もしている。
一般的な「芋煮」の味は牛肉にしょうゆ味だが、これが日本海側の庄内地方になると豚肉に味噌味に変わる。

最近では塩味だったり地域の特産を活かした馬肉を入れた芋煮もあるのだ。
また、芋煮を食べ終わったあとの汁にカレーのルーとうどんを入れた「芋煮カレーうどん」を〆に食べるというのが、最近のトレンドだ。

牛肉の旨味が残る和風しょうゆ出汁のカレーうどんは、どんなにお腹いっぱいになっていても食べられてしまう「魔法のシメ」である。

その山形の食文化を代表する芋煮会を一大イベントにしたのが今年で29回目を迎える「日本一の芋煮会フェスティバル」だ。

何が日本一って、、、大人12人程が手をつないだ大きさという6メートルの大鍋。それに入れる材料は里芋3トン、牛肉1.2トン、こんにゃく3500枚、ねぎ3500本、味付け醤油700リットル、隠し味に日本酒50升、砂糖200キロ、水6トン。

これらを6トンの薪で煮炊きするのだ。はははは。もう笑うしかないくらいの量だ。これをさらに建設機械・バックホーでかき混ぜ調理するのだ。

重機で調理するなどもってのほかだと思うかもしれないが、毎回一度も使用していない新品を用意し、可動部分の潤滑油も全て洗い流して、代わりにバターやマーガリンだ代用しているという。

こんな大鍋で作った芋煮など味も大味ではないかと心配される方もいるかもしれないが、砂糖以外はすべて山形県産のものを使用している安心・安全食材。

無農薬で育てた里芋や深い味わいが特徴のブランド和牛・山形牛、土づくりにこだわった長ねぎなど、山形の美味が詰まった、まさに至極の一杯なのだ。
もう、芋煮に対する愛が止まらない(笑)

美味しいものへの追求はとことんこだわるのが山形流なのかもしれない。

シベールがラスクを作るのに小麦粉と山形の美味しい水でラスクのためのフランスパンを作っているように、美味しいものを作るのに適した素材と環境が山形にはあるのだ。

そして美味しいものを食べられる幸せと一緒に「おいしいね」と言い合える人情深い土地なのである。山形、、、バンザイ!!!