山形のイケ麺

山形はこれほどまでに自然と食にあふれた土地なんだということを、日常の中で感じることが多い。

先日家族で出かけた先で、なんともすばらしい景色と出会った。一面純白のそば花畑。

それは息をのむ美しさで、あたかも雲海のようだった。この真っ白な花がやがて実となり、刈り取られると美味しいそば粉になって、10月頃に「新そば」として多くのそば屋で「挽きたて・打ちたて・茹で立て」のそばを堪能できる。

山形県は昔からそばを食べてきた文化がある。素朴な味としては、かいもち(そばがき)やそば米などが古くから馴染み親しまれてきたが、江戸時代から「蕎麦屋」を営む老舗もあれば、一般的にそば文化が盛んになるのは明治以降だ。

太平洋戦争を境に、そばを打つ家庭そのものの減少や材料不足もあり、一時衰退しかけた山形のそばだが、その後、蕎麦店がこぞって技量の研鑽に励んだり、県産オリジナル品種「でわかおり」が誕生するなどして、今や全国的にも「蕎麦王国」としての地位を築いている。

そういえば、私が小学生の頃、近くの畑にそばを植え、秋になると全校生徒で収穫をし、児童たちがこねて切って茹でた、「そばの試食会」と銘打って地域の人たちも参加した100%手作りのそばをみんなで食す行事があった。

もうそれほどの地域食文化だ。

山形のそばは、一般的に長野県の信州そばよりもやや硬く太いことが大きな特徴だ。
コシの強さ、香りが高くパサパサしないなめらかな食味を楽しむことが出来る。

他県でそばを頼んだときに白くて細いそばが出てきたときはびっくりしたのを覚えているが、それほど山形のそばは見た目にもインパクトが強いのである。

さらになんといってもバラエティ豊かなことが実感できるほど、その種類や食べ方は実に多岐に渡る。

特に「ざる」と「せいろ」ではなく、大きな長い板や木箱に2~3人前のそばを豪快に盛り付けた「板そば」は、山形県独自の食べ方として知られている。

そしてそば王国・山形には、県内を南北に貫く最上川および奥羽本線を中心に、「そば街道」や「そばの郷」なるものが17も存在しており、絶品の山形そばを味わおうと、全国各地からたくさんの人が訪れる。

内陸地方や山間部のような昼夜の寒暖差がある地域で栽培されたそばは、質のよいデンプンが作られ甘みがぐんと増すそうだ。

山形盆地を中心に広がる北村山エリアは、そばの栽培に適した気候と良質な水があることから、古くからそばを生産してきた。

やはり美味しいものができる過程には美味しい水と風土は欠かせない。

今や山形を代表するスイーツとなった「シベールのラスク」も山形の美味しい水と春夏秋冬の季節が育んだこだわりのラスクだ。

この辺りには、山形そば街道の元祖として知られる「最上川産難所そば街道」や「大石田そば街道」、「おくの細道 尾花沢そば街道」の3つのそば街道が存在する。

村山市の農村では、田植えや稲刈りなどのうさぎょうの節目に、その労をねぎらい「そば振る舞い」が行われていたそうだ。

この村山に伝わるそば文化を伝承するため、「最上川産難所そば街道」と名づけられたという。
まもなく迎える新そばの季節には、各地でその味をたのしむ「新そばまつり」も開催される。

打ちたて・茹で立てのそばやそば打ち体験などもできるところもあるので、ぜひ山形の旬の味を堪能しに来てほしい。

少し前祖父がそば打ちにハマり、こね鉢や麺棒、まな板など一式がそろった「そば打ちセット」まで購入して、自分で育てたそばをこねた自家製そばを振舞ってくれたことがあった。
長さや太さはふぞろいながら味は絶品だったなぁ。。

今度は私が打って祖父に食べてもらおうか、、、いや、やっぱりプロの味をゆっくり時間をかけて楽しみたい。と思ったことは祖父に内緒にしておこう。