縁と円

今、このコラムを書かせていただいているのも、可愛い子どもと毎日他愛もない会話を楽しめていられるのも、日常のちょっとしたことに幸せを感じられるのも、多くの方たちとのご縁があるからだ。

様々な出会いに感謝の毎日。山形にはそんな「ご縁」にまつわるお寺がある。
古くから「若松観音(わかまつかんのん)」の愛称で親しまれ、縁結びにご利益があるお寺として知られてきた、「鈴立山 若松寺(れいりゅうざん じゃくしょうじ)」だ。

 

 

近年は、住職と握手をすると良縁成就する「縁結びパワースポット」として全国から参拝者が訪れている。また、若松寺を含めた3つのお寺を巡る「出羽名刹三寺まいり」が若い女性の間で人気を集めている。

天童市の山奥に佇む古刹「若松寺」は、くねくねとした坂道を進んで山頂近くの静かな林の中にある。
奈良時代の和胴元年(708年)に行基菩薩によって開山され、室町時代には、最上三十三観音の第一番札所として位置づけられ、現在も毎年多くの巡礼者が訪れている。
本堂のまわりはゆっくりと散策ができるような遊歩道もあり、天童市内の素晴らしい景色が見渡される。
晴れた日は遠くに月山を望むこともできる。

 

 

この日も複数の女性が本堂の前で手を合わせている。若松寺は、花笠音頭で「めでためでたの若松さまよ」と謳われるように、縁結びの寺として地元で親しまれてきた。

そこへ「若松寺の住職と握手をすると良縁が授かる」というような噂がささやかれ始めたのは、若松寺が開山1300年を迎えようとしてる頃、仙台から訪れた女性のお客さんが住職と握手をしたいと声をかけてきたのがきっかけ。

その後その女性が結婚し、いい出会いに恵まれたのは住職のおかげだと他の親友に話し、口コミでどんどん広がったという。
今では、個人やグループでのご祈祷は予約でいっぱいになることが多く、毎月第一日曜に開催される「縁結び祈願祭」には、北海道や大阪など全国各地から200人以上が参加することもあるほどだ。

山形には若松寺のほかにも良縁につながるパワースポットがいくつかある。その一つが、屋縣氏の宝珠山・立石寺(山寺)。観光地としても人気の山寺は、昔から「縁切り寺」として知られている。
良縁なのに縁切り?と思われるかもしれないが、まさに「良縁を結ぶために、悪縁を断つ」ためのスポットとして注目されているのだ。

1015段の石段を登った先に見える景色を眺めれば、心も思考もすっきり!
石段を降りるときにはすれ違うすべての人に「こんにちは~。がんばってくださいね~」などと声を掛けるほど、余分なものをすっきり落とした気持ちよさを感じるはず。

そしてもう一つ、若返り祈願の寺院として知られているのが寒河江市の本山慈恩寺。こちらには、慶長11年(1606年)に河北町谷地の鋳物師によって作られた大きな鉄の鉢があるのだが、この鉢に頭を入れると若返り効果があると伝えられている。
年配の方はもちろん、いつまでも若くありたいと願う人たちが訪れている。

そんな縁結びにご利益があるといわれている3つのお寺を巡る「出羽名刹三寺まいり」がおすすめだ。
オリジナルの御朱印帳を片手に、いにしえの聖地を巡ってみるのはどうだろう。悪縁切って、若返って、良縁結び。あなたの明日が山形で変えられるかもしれない旅だ。

 

 

これからの季節、赤や黄色に色づいた山々を散策しながらもまた、山形の素晴らしい季節との出会い“ご縁”を感じられるに違いない。

シベールから期間限定・復興版として販売されているまあるい円に近い「アールグレー・ラスク」の味に懐かしさを感じながら、今日も様々な縁に感謝するのである。